12月10日、『サイバーパンク2077』はついに発売した。本作はIGN JAPANのオリジナルレビューで満点を獲得した6本目のゲームとなり、執筆を担当した藤田祥平は以下のような評価を下している。
『サイバーパンク2077』は、これまでのビデオゲーム史上もっとも魅力的な街であるナイトシティを創造した。メインの物語に関与しない戦闘コンテンツの繰り返しが多いと感じさせるものの、その街に生きた人々の人生を注意深く交差させることで、西洋的な意味でのRPG――役割をプレイするゲーム――のジャンルに、摩天楼のごとき金字塔を打ち立てた。
多少のバグや戦闘の頻度の高さを指摘しながらも、ナイトシティを「ゲーム史上もっとも魅力的な街」と評価し、類を見ない重厚なロアや充実したロールプレイを非常に高く評価しているのだ。
ところで、『サイバーパンク2077』ほど期待されていたタイトルは、かつてあっただろうか。もちろん、日本国内では「ドラゴンクエスト」や「モンスターハンター」シリーズの新作はもっと騒がれるだろう。だが、世界規模で見たときに『サイバーパンク2077』ほどゲーマーに渇望されていたタイトルはたぶんない。少なくとも、IGN JAPANが2016年にオープンしてからの4年間、E3やgamescomで本作ほど話題を集めるゲームはなかった。
ゲーマーからの期待値が突き抜けていたことを思えば、満点レビューは納得というか、驚きというよりは安堵感が伴うような結果とすら言えるのかもしれない。
海外のレビュー集積サイトMetacriticを見ても、本作がとても高く評価されていることはわかる。PC版は記事執筆時点で52件のレビューが登録され、90点のメタスコア(平均スコア)を獲得している。90を超えるメタスコアのゲームは一年に10~20本程度だ。発表から7年以上待っていたファンは、期待通りの素晴らしいゲームを約束されたようなものだろう。
だが、『サイバーパンク2077』ともなれば「とても高い評価」や「素晴らしいゲーム」は果たして十分だろうか。90点のメタスコアを獲得したとはいえ、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、『スーパーマリオ オデッセイ』、『レッド・デッド・リデンプション』のように90点代後半に届かなかったことは事実だ。同じCD PROJEKT REDによる『ウィッチャー3 ワイルドハント』の93点(PC版)にも及ばなかった。2020年には91点を超えたメタスコアのゲームが11本もある。メタスコアがすべてとは思わないが、それでもメタスコア順で見れば『サイバーパンク2077』が今年のベスト10にすら入っていないのは少々驚きだ。
IGN USのレビューで、本作は9点のスコアを獲得している。9点は「AMAZING(素晴らしい)」を意味するスコアで、ほとんどのデベロッパーにとっては夢のようなスコアだろう。しかし、何度も言うようにこれは『サイバーパンク2077』だ。
ところで、IGN USでは2020年に入ってからレビューの小数点がなくなり、これによって満点レビューが増えたように思われる。IGN USで2020年に満点を獲得したレビューはなんと7本もある。『サイバーパンク2077』はその1つにならなかったわけだが、下記にレビューを担当したトム・マークスの評価を引用しよう。
『サイバーパンク2077』でプレイヤーは美しく、驚くほど密度の濃い、そして制限の少ない街を探索することになる。自分のキャラクターをどのように成長させるのか、どのようにクエストに挑むのか、どのように敵を対処するのか、そのすべてにおいて実に豊富な選択肢を与えられている。これらの選択肢はゲームの世界やそこに住む人々の物語に、極めて自然な形で影響を与えていく。エモーショナルなものからちょっと面白いもの、暗いもの、興奮するものまであり、もちろんそれらがすべて1つの物語に含まれていることもある。メインクエストは予想していたより短く、プレイヤーがその結末にどのように影響を与えられるかが明白でないことも多い。だが、ゲームの序盤から挑めるたくさんのサイドクエストが、ゲームの終盤に意外なインパクトを発揮してくれる。頻発するバグが『サイバーパンク2077』の素晴らしい世界観を台無しにしてしまうことがあるのは残念だが、本作が驚くほど柔軟性の高い、素晴らしいRPGであることに変わりはない。
文章を読めば、トムと藤田の評価に大きな差があるとは思えない。2人とも街の魅力やロールプレイの充実度を高く評価し、欠点としてはバグを指摘している他、藤田は戦闘の頻度、トムはメインクエストへ影響を及ぼす方法が不明白であるとしている。
では、点数が割れた理由はどこにあるのか。たぶん「バグ」だろう。バグの頻度や、どれほどひどいものに遭遇したのかは人によって違う。IGN JAPANのトーク番組しゃべりすぎGAMERで、藤田と今井晋が本作のバグの頻度について「他のオープンワールドゲームと変わらない程度」と発言しているが、トムはそうではなかった。彼はバグの頻度について「無数にある」とし、世界観への没入感を削ぐものはもちろん、ゲームを再起動しなければならないことも何度もあったという。
他のレビューも見てみよう。Metacriticに登録されている53本のレビューのうち、15本が満点を与えている。これらレビューの共通点として、欠点を認めつつ、それを補って余りある魅力があるという加点方式になっていることだ。Play! Zineは「バグはいっぱいあるし他にも技術的な欠点はいくらでもあるが、それを除けば『サイバーパンク2077はすべてにおいてユニークで美しい傑作だ」としている。大手メディアVGCの見出しは「驚愕すべき快挙――グリッチを見てみぬふりさえできれば」である。God is a Geekは「問題も確かにあるが、『サイバーパンク2077』は私が堪能した最も驚異的なメデイアのひとつだ」とまで評価している。
他にも、『サイバーパンク2077』が歴史に残るべき傑作であると主張しているレビューは少なくない。例えば、Digital Spyは以下のように書いている。
『サイバーパンク2077』は傑作だし、似たようなゲームは体験したこともない。未来のゲーム体験を覗かせてくれたことは間違いなく、私たちは本作のすべてにドハマリした。私たちの評判が傷ついてでも、これだけは言いたい:本作は私たちにとって、余裕でここ10年の最高傑作だった。
90点代のレビューはIGN USのトムのように、本作の素晴らしさを認めつつ、バグや不具合をスコアに反映させているわけだが、それでも作品自体に対する評価がとても高いとわかる。例えば、95点のスコアを与えたAreajugonesは「『スカイリム』や『GTAV』が2010年代のゲームにターニングポイントをもたらしたとすれば、『サイバーパンク2077』は技術的な問題があっても、2020年代に同様のインパクトをもたらすタイトルだろう」と評価している。
気がかりなのは、GamespotやPC Gamerといった大手メディアが渋い評価を出していることだ。しかも、これらはバグや不具合以外の問題も指摘している。78点のスコアをつけたPC Gamerは「結構良いRPGで設定は素晴らしいけれど、恐ろしいバグの病に罹ったゲーム」と書いている。ナイトシティという舞台の魅力を高く評価し、『レッド・デッド・リデンプション2』や『グランド・セフト・オート―V』と同等のクオリティがあるという。だが、よく見ればそこで生活するキャラクターに生活感が欠けており、レビュアーは同じような見た目のキャラクターに何度も遭遇し、彼らの行動パターンが単純であると指摘して、ナイトシティが舞台セットどまりでシミュレーション要素が不足していると書いている。ストーリーについては、アイディアが面白いとはいえ、共に冒険するジョニーの性格に一貫性がないという。
70点のGamespotのレビューでもバグ以外に様々な問題が指摘されている。ストーリーとサイドクエストが繋がっているように感じなかったこと。ナイトシティが密度の高い街であっても、その施設や機能に必然性が不足していたこと。広告やNPCの会話によるロアが表面的なものに留まっており、欲望と暴力の塊のような街になった理由が見えてこないこと。様々な文化圏のキャラクターが正しく表現されていないことなど、多くの欠点や要望を挙げた上、キャラクターの魅力を除けば「期待外れの作品」とまで書いている。
それでも、バグや不具合ではなく、作品の根本的な内容に問題があると指摘するレビューはあくまで少数派だ。バグが修正されれば、まごうことなき傑作となることが一般的なメディア評価と言えそうだ。CD PROJEKT REDは『ウィッチャー3 ワイルドハント』で、丁寧なアップデートで1つ1つの不具合を修正していったし、『サイバーパンク2077』についても同様に対応していくと宣言している。2021年のGOTYの季節がやってくる頃には、ほとんどの人が認めざるを得ない傑作になっている可能性も高い。
ところで、『サイバーパンク2077』のメディアによる先行プレイはすべてPC版で行われ、本稿で紹介したレビューもすべてPC版の評価だ。PS4版やXbox One版のメディアによるレビューはまだほとんどないが、ユーザーの評判は――控えめに言って――あまりよくはないようだ。コンソール版の評価やユーザーの最終的な評価も注目していきたい。
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