日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)について、原子力規制委員会が、新しい規制基準に適合しているとする「審査書案」を了承した。
再処理工場は、使用済み核燃料を再利用する国策「核燃料サイクル」の中核施設だ。本格稼働の前提となる審査に事実上、合格したことを意味する。
とはいえ、書類上の形式が整ったことを理由に、核燃料サイクルが大きく前進することはあり得ない。原発で使い終わった核燃料からプルトニウムを取り出し、再び燃料として使う日本の「再処理」はとっくに行き詰まり、破綻している。
核燃料サイクル政策の本来の狙いは、プルトニウムを次世代原発の高速増殖炉で使うことで、核燃料を大幅に節約することだった。
ところがその本命として福井県に建設した高速増殖炉原型炉もんじゅは、相次ぐ事故で長期停止。さらに東京電力福島第1原発事故後の原子力政策見直しで、廃炉になった。
一方、通常の原発で、ウランとプルトニウムをまぜた混合酸化物(MOX)を燃やすプルサーマルがある。これも東日本大震災後に導入しているのは4基だけで、再処理で得られる年間最大8トンのプルトニウムを消費するには不十分だ。
プルトニウムは核兵器に転用可能であり、大量に保有すれば国際社会の懸念を招きかねない。日本はいま、国内外に45・7トンのプルトニウムを保有している。
六ケ所村の再処理工場が稼働すれば、プルトニウムはさらに増える恐れがある。工場をフル稼働させられる見込みは薄い。
さらにいえば、核燃サイクルにのしかかる経済的負担も、見過ごすことはできない。
再処理工場は1993年の着工後、トラブルなどで完成が20年以上遅れている。再処理で発生する高レベル放射性廃棄物の一時貯蔵などを含む、今後の総事業は約14兆円が見込まれている。
巨額の金を投入し、燃料を再処理しても行き場がない。日本の再処理やプルサーマルは、電気事業者の民間ビジネスだが、コストを安易に電気料金に上乗せすることは許されない。事業者は政府の原子力政策に支えられている。
国や業界はなぜ、技術的にも経済的にも破綻状態にあるサイクル政策に固執するのだろうか。おそらく政策の旗を降ろせば、全国の原発にある使用済み核燃料への対応を迫られるからだろう。
しかし、現在の世界をみれば、高速増殖炉や核燃サイクルを目指す先進国はほとんどないに等しい。潮流は原発よりも、風力や太陽光などの再生エネルギーにある。
行き場のない政策にしがみついても、問題の先送りにしかなるまい。無理な研究をすれば、その分、予算や人材も浪費する。政府や業界は現実を直視し、大胆に政策を転換するときだ。
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May 16, 2020 at 06:00AM
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