GeForce RTX 3080搭載の新型フルタワーパソコン
マウスコンピューターのゲーミングパソコンブランド「G-Tune」より、フルタワーケースを採用したゲーミングデスクトップパソコン「G-Tune EP-Z」が発売された。
最新のGPUであるGeForce RTX 3080をフルタワーケースに搭載する、王道のハイエンドパソコン。G-Tuneブランドでは最初のGeForce RTX 3080搭載機となる。
高いスペックだけでなく、デザインまでこだわったケースも特徴だ。内部構造も含めて、実際の製品をチェックしていく。
CPU水冷ユニット搭載、ストレージや電源にいたるまで隙のないハイエンド構成
「G-Tune EP-Z」のスペックは下記のとおり。
【表1】G-Tune EP-Zのスペック | |
---|---|
CPU | Core i7-10700K(8コア/16スレッド、3.8~5.1GHz) |
チップセット | Intel Z490 |
GPU | GeForce RTX 3080(10GB) |
メモリ | 32GB DDR4-2666(16GB×2) |
SSD | 1TB(M.2 NVMe) |
HDD | 2TB |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ(スロットイン) |
電源 | 800W(80PLUS Titanium) |
OS | Windows 10 Home |
汎用ポート | USB 3.1×2(Type-C×1、Type-A×1)、USB 3.0×6、USB 2.0×2 |
カードスロット | なし |
映像出力 | HDMI、DisplayPort×3(DisplayPort-DVI-D変換ケーブル付属) |
有線LAN | Gigabit Ethernet |
その他 | 音声入出力、S/PDIFなど |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 215×490×501mm |
重量 | 約18kg |
税別直販価格 | 299,800円 |
CPUはi7最上位のCore i7-10700Kを搭載し、GeForce RTX 3080と組み合わせた。メインメモリは32GB、ストレージは1TBの大容量SSDに2TB HDDも搭載し、容量的にヘビーなゲームにもしっかり備えられる。
80PLUS Titaniumの高効率電源を採用しているのもポイント。処理能力に影響する部分ではないため、完成品のパソコンでは安価なものが使われがちだが、あえて80PLUSのなかでも最高峰ランクの製品を搭載している。電源は高効率であることと高品質であることは必ずしもイコールではないが、開発者の気配りが見えるのはポジティブだ。なお今回の試用機では、カスタマイズで選択できる80PLUS Goldの1,200Wのものが搭載されていた(+7,800円)。
スペック以外の仕様としては、240mmのラジエータを備えた水冷CPUクーラーが標準となっている。さらにカスタマイズでラジエータを1.5倍サイズの360mmのものに変更もできる(+6,000円)。ちなみに今回の試用機はこの360mm仕様となっており、標準仕様よりも冷却力が上がり、静音化にも寄与していると思われる。
カスタマイズではこのほかにも、メインメモリやSSD、HDDの容量アップや、高性能CPUグリスへの変更もできる。またケース左側面を内部が見えるライトスモーク強化ガラス仕様にしたり(+6,000円)、後部とラジエータ冷却用の120mmファンをLED搭載型に変更もできる(スモークガラスと合わせて+15,200円)。今回の試用機では、スモーク強化ガラスとLED搭載型ファンに変更されている。こちらは見た目の変更であり、スペックへの影響はほとんどないはずだ。
なおキーボードやマウスといったデバイス類や、電源ケーブル以外のケーブル類は付属しない。カスタマイズ時に追加注文が可能なので、必要な人は忘れずに。ヘッドフォンやスピーカー、Windows Helloによる顔認証対応のWebカメラなども追加できる。
4KやVRでも快適な性能を発揮
次は実機の検証に移る。まずはベンチマークテストを試してみた。利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2506」、「3DMark v2.13.7009」、「VRMark v1.3.2020」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「CINEBENCH R20」、「CrystalDiskMark 7.0.0」。
【表2】ベンチマークスコア | |
---|---|
「PCMark 10 v2.1.2506」 | |
PCMark 10 | 7,153 |
Essentials | 9,795 |
Apps Start-up score | 13,097 |
Video Conferencing Score | 7,546 |
Web Browsing Score | 9,510 |
Productivity | 8,765 |
Spreadsheets Score | 10,197 |
Writing Score | 7.535 |
Digital Content Creation | 11,571 |
Photo Editing Score | 15,855 |
Rendering and Visualization Score | 16,845 |
Video Editing Score | 5,802 |
「3DMark v2.13.7009 - Time Spy」 | |
Score | 15,801 |
Graphics score | 17,280 |
CPU score | 10,642 |
「3DMark v2.13.7009 - Port Royal」 | |
Score | 11,129 |
「3DMark v2.13.7009 - Fire Strike」 | |
Score | 30,156 |
Graphics score | 42,039 |
Physics score | 24,594 |
Combined score | 10,845 |
「3DMark v2.13.7009 - Night Raid」 | |
Score | 60,541 |
Graphics score | 137,165 |
CPU score | 14,534 |
「3DMark v2.13.7009 - Sky Diver」 | |
Score | 64,413 |
Graphics score | 129,401 |
Physics score | 21,641 |
Combined score | 35,748 |
「VRMark v1.3.2020 - Orange Room」 | |
Score | 13,366 |
「VRMark v1.3.2020 - Cyan Room」 | |
Score | 16,381 |
「VRMark v1.3.2020 - Blue Room」 | |
Score | 5,345 |
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(高品質) | |
3,840×2,160ドット | 7,414 |
1,920×1,080ドット | 12,897 |
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(最高品質) | |
1,920×1,080ドット | 21,005 |
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」(簡易設定6) | |
1,920×1,080ドット | 119,704 |
「CINEBENCH R20」 | |
CPU | 4,903pts |
CPU(Single Core) | 507pts |
さすがはハイエンドモデルだけあり、すばらしい性能を見せている。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」では、4Kでも「快適」の評価となっており、4Kでも画質を下げることなくプレイ可能なラインとなっている。
また「VRMark」でもっとも処理が重い「Blue Room」でも、ターゲットフレームレートとされている109fpsを上回り、平均フレームレート116.51fpsを記録している。最近はVR機器の解像度が上がっており、その分だけ処理負荷も高くなるが、本機であれば当面は困ることはなさそうだ。
CPU関連のスコアもシングルコア・マルチコアの両方で高い結果が出ている。32GBのメインメモリを搭載していることもあり、ゲーム以外の用途にも十分対応できるし、あるいはゲームの裏で配信など別の作業を動かすのにも向いている。
ストレージはADATA製「XPG SX6000 Pro(SX6000PNP)」が使われていた。シーケンシャルリードは2GB/sを超えており、また容量も1TBある(OS領域で数十GBは消費しているが)ので、ゲーム用のストレージとして十分活用できる。
高負荷時にも水冷ならではの静粛性が魅力
続いて実機の使用感を見ていく。G-Tuneこだわりのフルタワーケースは、形状はほぼおうとつのない直方体。カラーリングも内部を含めてほぼブラックで統一されており、前面右側にある端子部のみダークレッドの配色がなされている。G-Tuneと言えば、以前は西洋甲冑を模した意匠がトレードマークだったが、今や極めてシンプルなデザインになった。
しかしフルタワーだけあって存在感はある。高さ50cm超、重量17.5kgの筐体はさすがに大きく、外箱から取り出すさいには「2人で取り出すように」という注意書きが入っている。筆者は慣れていることもあり、注意しながら1人で取り出したが、できれば事前に手伝える人を呼んでおくといい。無理に持ち上げて取り落とせば、足に落ちて大けがをしないともかぎらない。
本体を見ていくと、フロントパネルの上部に端子類が並び、その下にスロットイン式のDVDスーパーマルチドライブがある。筆者の好みもあるが、USB等の端子類が上向きだと端子部にホコリが貯まりやすいので、横向きの本機はありがたい。
前面の端子はUSB 3.0×2、USB 2.0×2、ヘッドフォン端子、マイク端子。欲を言えば、そろそろ前面にUSB Type-C端子が欲しい気はする(背面には1つある)。あとは電源ボタンとパワーLED、アクセスランプという構成だ。
電源を入れてみると、静かな部屋ではファンの回る音が聞こえる。低めの風切り音で、音楽をかければまぎれてしまう程度の小さな音だ。就寝時に耳元にあるとさすがに気になるかもしれないが、アイドル状態では十分静かと言っていい。
次に3Dベンチマークテストで高負荷をかけてみた。動き出してからしばらくしても、音の変化がわからない。CPUは大型ラジエータのおかげで音の変化がほとんどないのはわかるが、空冷のはずのGPUからの音の変化も感じられない。
GPUへの負荷が足りないのかと思い、「3DMark」を動かしてGPUの負荷を見てみたが、確かに100%使用している。そこから長時間にわたって高負荷をかけ続けると、極めて緩やかに騒音が大きくなっていく。最終的にはそこそこ大きな音になるが、耳触りな高音はほとんどなく、ゲームの音をスピーカーから出していれば許せるレベルには収まっている。
騒音のストレスは急激に大きくなることによって生じやすい、というのが筆者の経験則。本機は音の変化が極めてゆっくりで、そこそこ大きな騒音になった時にはすでにゲームがある程度進んでいて気になりにくい。また動画視聴などでは負荷はほとんど上がらないので、静かな環境で利用できるのも利点だ。
静粛性にこだわったゲーミングパソコンを、自分好みの外見に
本機は最新パーツで組み上げたハイエンドパソコンに、標準でCPUの水冷ユニットを搭載し、高い静粛性を持つのが魅力。高性能なパソコンはどうしても騒音が大きくなるが、ヘッドフォンをせずにスピーカーで最新ゲームを楽しみたい、という人におすすめできる1台だ。
ただし重量のあるフルタワーなので、設置作業や設置スペースには注意。ハイエンドパソコンのわりには背面の排気は少なめだが、それでも高負荷時は温風が出るので、本体後方への配慮は必要だ。
内部は3.5インチのシャドウベイに空きがないなど、拡張性は乏しい。フルタワーなので余裕があるだろうと思われがちなので注意が必要だ。ただ最近はUSB接続などによる外部機器も豊富だし、カスタマイズでSSDやHDDの容量アップ、2.5インチSSDの追加もできるので、さほど気にならない人も多いだろう。
あとはやはり、外見も評価に入れたい。大型でそもそも存在感があるだけに、見た目が好みに合うかどうかは重要だ。標準仕様の落ち着いた外見が好みならそれでいいし、スモークガラスとLED内蔵ファンで控えめな装飾を入れてみてもいい。外見を含めたカスタマイズも本機の魅力と言える。
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