閉幕の会合で発言する小泉環境相(15日、マドリード)
【マドリード=安倍大資】第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)は15日、各国の温暖化ガス削減目標を引き上げることで合意し、閉幕した。対策の強化が必要との内容を文書に盛り込んだが義務づけておらず、上積み幅も各国の判断に委ねた。実効性の確保が次の課題となる。
COP25は削減目標の引き上げと詳細ルールを巡って各国の対立が続いた。13日までの会期を2日間延長して協議を続けた。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の詳細なルールづくりは、2020年のCOP26に持ち越した。
合意文書は、パリ協定の下で180カ国以上が提出している温暖化ガスの削減目標について「(削減目標を再提出する)20年に高い野心を示す」とし、対策の上積みを各国に促す内容となった。
対策に前向きな欧州連合(EU)や島しょ国が削減目標の引き上げを促す強い表現を要求。石炭産業などを保護したい米国やオーストラリアなどが反対を続けた。
最後は目標の引き上げを義務づけるような記述は避け、努力を促す形の表現で折り合った。
もう一つの焦点だったパリ協定の詳細なルールづくりは、決定を1年後のCOP26に持ち越した。
排出量取引について、先進国が途上国に協力して温暖化ガスを削減した分を自国の目標達成に充てる仕組みを整える予定だった。ブラジルやインドなど途上国側が、自国の削減分に使えるような仕組みを求め、最後まで譲らなかった。
パリ協定以前に得た排出量をパリ協定以降の目標達成に使えるかどうかの議論も決定を見送った。ルールづくりを先送りしてもパリ協定を20年から本格運用する方針は変わらないが、対策が遅れる恐れもある。
15年採択のパリ協定は、産業革命前からの気温上昇を2度未満にとどめ、できれば1.5度以内に抑えることを目標に掲げる。
先進国と途上国が分け隔てなく温暖化対策に参加することを優先し、温暖化ガスの削減目標などは自主的に定める。国連環境計画が11月に公表した報告書では各国が現状の目標を達成しても気温は3.2度上昇すると警告した。
2019-12-15 13:27:46Z
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