使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。
そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。前半の解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続できている。これからセットアップする人は、そちらから読みはじめてもらいたい。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
前回は、Fire TV Stickを固定回線の光回線ではなく、モバイル回線に接続して活用している人向けの設定を行ってみた。
これは、画質をそこそこにしてデータ通信容量を抑える設定だったが、今回はこれをさらに進めて、容量制限がかかってしまった状態でどうなるかを検証してみたい。
容量制限がかかった状態で試してみる
今回使っている楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」は、楽天回線ではほぼ通信容量を使い放題だが、パートナーエリアとなるau回線は月間5GBまでで、これを超過すると1Mbpsの速度まで落ちる。
ただし、「my楽天モバイル」の設定であらかじめ低速モードへ切り替えておけば、楽天回線エリア外のパートナーエリアでも、1Mbpsに制限されたままの状態ながら、ずっと通信をし続けられる。
データ超過時の速度制限が1Mbpsのプランは、ほかにY!mobileやUQ mobileでも用意されているし、UQ WiMAXも直近3日間で10GB以上使った場合の制限は1Mbpsだ。また、NTTドコモの30GBまで使える「ギガホ」というプランでも、容量超過時の制限速度は1Mbpsとなっている。
この1Mbpsという速度は、実際のところ動画視聴にも意外と使えてしまう(もちろん画質は妥協する前提で)。これまで多かった128kbpsの帯域制限は、スマホで何をするにも止まったようになってしまい、動画の視聴などはどうにもならなかったが、1Mbps制限であれば、ワリと使える感触の人が多いのではないかと思う。
今回は、この1Mbpsの制限下で、Fire TV Stickの動画を視聴したときの快適度を見てみよう。設定の前回紹介したものを適用していることが前提で、その詳細は前回を参照して欲しいが、具体的には以下の内容だ。
- [設定]―[ディスプレイとサウンド]―[ディスプレイ]で[720p 60Hz]を選択
- [設定]―[ディスプレイとサウンド]―[色深度]で[8ビット]を選択
- [設定]―[環境設定]で[データ使用量の監視]を[オン]にする
- [ビデオ画質を設定]で[標準画質]を選択
画質を妥協して、Amazon提供コンテンツをメインに再生すればワリと見られる
Amazonプライムビデオのコンテンツ再生時には、開始されるまでにバッファを読み込む時間が長めになる。また、ステータスバーで「HD」表示が点灯しないので、SD画質での再生になっていることが分かる。
再生時の画質はやや落ち、動きのあるシーンではブロックノイズが目立つが、鑑賞に堪えないというレベルではない。無料ライブ配信中の「TBS NEWS」も再生は可能だったが、けっこうブロックノイズが入り、テロップは読みにくくなった。
ABEMAでは、ライブNEWSチャンネルを含め問題なく再生されるが、画質はけっこう低下する印象。ブロックノイズが多めで、小さなテロップなどは読めなくなることもある。ただ、チャンネル選択画面の表示も含め、実際の使用には問題なさそうだ。
TVerも特に問題なく利用できた。再生時も多少ブロックノイズも出るが、コンテンツが地上波テレビ向けで、テロップなどがもともと大きめで見やすいこともあり、見にくいシーンはなかった。
Huluも試してみたが、トップ画面が表示されるまでにかなり時間がかかり、タイトル再生後も頻繁に再読み込みがかかったりして、こちらはあまり実用的ではなかった。「基本設定」の「アドバンストモード」という項目に通信量を下げる設定はあるのだが、再生品質をコントロールする方法がないためかキツイ感じ。このように、アプリによっては使用に堪えないケースもある。また、ネットの混み具合も影響する。
このように、Amazon提供のコンテンツをメインに再生することと、画質がある程度落ちることを許容すれば、意外と使える印象だ。モバイル回線で長時間制限なく動画を楽しみたいときには、選択肢として考えてもいいだろう。
ただ、ちょっとしたWi-Fiの影響で再生バッファ待ちになり止まりやすいので、モバイルWi-FiルーターとFire TV Stickを極力近づけておきたい。また、表示させるディスプレイには小さめのサイズを選ぶと画面の荒さがだいぶ気にならなくなる。
スマホのテザリングもある程度は活用できるだろうが、モバイルWi-Fiルーターとは違ってACアダプターに接続しっぱなしで長時間連続的にデータ転送をするような使い方は想定されていない。異常発熱やバッテリー不良を起こす可能性があるので、十分に注意しながら使って欲しい。長時間連続使用したいなら、モバイルWi-Fiルーターを用意することを検討した方がいいだろう。
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October 08, 2020 at 04:00AM
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【使いこなし編】:第47回:Amazon「Fire TV Stick」を低速モバイル回線で活用してみる - INTERNET Watch
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