20年4-6月決算は予想通り、ブロードバンドと企業向けサービスがけん引
チャイナ・モバイルの20年6月中間期および4-6月期決算はいずれも、BOCIの予想と市場コンセンサス予想の範囲内だった。固定通信事業の伸びと“在宅”市場の予想を上回る拡大が、モバイル業務の低成長をカバーした。BOCIは利益下押しの可能性が限定的であることや配当面の魅力を指摘。同社の目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
20年4-6月期の純利益は前年同期比0.3%減の323億元と、ほぼBOCIの予想(324億元)通りの数字となった。同社全体のサービス収入は2.1%増の1,893億元と、これもほぼ予想通り。主に固定通信ブロードバンドサービス収入の13%の伸びが寄与した。一方のモバイルサービス収入は1%増の1,707億元。経営陣によれば、4Gから5GへのアップグレードによるモバイルARPU(加入者1人当たりの月額収入)の押し上げ効果は6%になるという。
IDC(インターネットデータセンター)、DICT(データ、インフォメーション、通信テクノロジー)、モバイルクラウドサービスなどを含む企業向けサービス事業の売上高は、20年6月中間期に前年同期比18.4%増の552億400万元に達した。成長エンジンとなったのはIDCとモバイルクラウド。同社が掲げる「ネットワーク+クラウド+DICT」戦略の下、この2業務の売上高がそれぞれ同61.4%増、556.4%増を記録している。なお、同社全体の上期の売上高は前年同期比0.1%増の3,899億元、純利益は0.5%減の558億元だった。
一方、20年上期の設備投資は前年同期比18.5%増の1,010億元で、モバイルネットワーク向けが550億元、ファイバー伝送ネットワーク向けが273億元など。20年通期には、主に都市部に5G基地局30万局を設置する計画。これにより、同社独自のコアネットワークが20年中に始動する運びという。
経営陣は20年通期も、サービス収入がプラス成長を維持するとの見方。ただ、下期にはネットワーク運営費用が上期と同様、前年比10.9%程度膨らむと予想。結果的に、下期のEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)マージンに下押し圧力がかかるとみている。また、上期に縮小した販売・マーケティング費に関しては、通期では前年並みを見込む。
BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。中間配当はほぼ前年並みの1株当たり1.53HKドルの予定。小幅の減益決算にもかかわらず、事前の予告通り、安定的だった。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは国際的な規制面の不透明感を挙げ、海外ビジネスに悪影響が及ぶ可能性を指摘している。
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