政策としての行き詰まりは明らかだ。立ち止まり、抜本的に見直す姿勢こそ必要である。
政府と電力業界が推進する核燃料サイクルのことだ。
その要となる日本原燃(青森県六ケ所村)の使用済み核燃料再処理工場について、原子力規制委員会が新規制基準に適合していると判断した。業界は「お墨付き」を得たと歓迎している。6年以上に及んだ審査が事実上終わり、日本原燃は2021年度上期の完成を予定する。
勘違いしてはならない。原子力規制委は施設などが安全性の基準を満たすかどうかを審査しただけで、政策としての核燃料サイクルの必要性や経済性を妥当と判断したわけではない。
再処理工場は危険なプルトニウムを年間最大7トン取り出せるが、消費する当てはない。完成の遅れや規制対応で建設費は当初計画から大きく膨らみ、経済合理性も損なわれている。
そもそも現状では、核燃料サイクルの前提といえる原発の推進に国民的な理解が得られていない。国や電力業界は六ケ所村の再処理工場稼働は見合わせるとともに、「核のごみ」の最終処分先の選定を急ぐべきだ。
国策民営で原発事業を進めてきた日本は、使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出して再利用する政策を掲げてきた。使った以上の核燃料を取り出せるという夢のような高速増殖炉を実用化し、核燃料の利用効率を高める構想だった。
だが、その高速増殖原型炉「もんじゅ」が重大事故を重ねて廃炉が決まり、巨額を投じた計画は頓挫した。プルトニウムをウランと混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を通常原発で使うプルサーマルも難航している。
各地の原発16~18基でプルサーマルを実施する計画を公表したものの、福島第1原発事故の発生で原発を取り巻く状況は一変した。安全規制が強化され、21基の廃炉が決まった。再稼働できた原発は9基、プルサーマルは4基にとどまる。
核兵器の材料になるプルトニウムは国際的に管理され、日本は国内外に約46トン保有する。核不拡散の観点でも問題とされている。プルトニウムをさらに取り出す意味はどこにあるのか。
政府と業界が固執するのは、原発運転で出続ける使用済み核燃料の持って行き場がないからだ。ここに問題の核心がある。
再処理を前提に、大量の使用済み核燃料が六ケ所村に運び込まれている。再処理断念なら、電力各社が引き取ることになるが、多くの原発の貯蔵プールは満杯間近で、その余裕はない。
使用済み核燃料の扱いこそ喫緊の課題だ。原発の在り方と一体の議論が避けられない。
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May 28, 2020 at 08:43AM
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