既報の通り、KDDIと沖縄セルラー電話(au)は3月26日から、5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス「au 5G」を開始する。それに伴い、同日から順次対応端末も発売される。
3月25日に行われたオンライン発表会の後、報道関係者を対象とする電話による質疑が行われた。応答者は、KDDIの高橋誠社長、同社コンシューマ事業企画本部の松田浩路氏(副本部長)、長谷川渡氏(次世代ビジネス企画部長)、ビジネスアグリゲーション本部の繁田光平氏(アグリゲーション推進部長)の計4人。
この記事では、主な質疑応答の模様をお伝えする。
料金プランについて
―― au 5Gの料金プランについて質問です。今回は、従来からの(4G LTEサービス向けの)プランを踏襲しつつ、「データMAX 5G ALL STARパック」という新しいバンドルプラン(通信サービス以外のサービスを付帯するプラン)を用意するなど、非常に特徴的だと思います。
オンライン発表会でも(高橋社長が)「技術よりも体験価値の創造」とおっしゃっていましたが、今回の料金プランの狙いについて改めて聞かせてください。
高橋社長 ご指摘の通り、今回はかなり大胆になっていると思います。詳しい説明は、料金担当者の1人である長谷川から説明します。
長谷川氏 5Gでは動画視聴がかなり伸びると期待しています。それもあり、私たちでは(4G LTEサービスでも)容量無制限のサービスを提供してきました(筆者注:「auデータMAX」シリーズで容量無制限なのは、国内における端末単体でのデータ通信のみ)。
今回は、その使い放題をそのままに、月額3460円からの業界最安値のプランを提供しています(筆者注:「データMAX 5G」プランにおける、契約翌月から6カ月間の割り引き最大適用時の料金)。ただ、それだけでは面白くありません。使い放題になった時に、お客さまがどのようなサービスを使いたいかというアンケートなどを取った所、上位5つのサービスから3つを選び、計4つのサービスをバンドルするプラン(データMAX 5G ALL STARパック)を用意しました。
さらに、今回は「下のプラン(ピタットプラン 5G)」「無制限プラン(データMAX 5Gシリーズ)」というように、プランのシンプル化も進めております。エリアが広がるまでの2年間は、(キャンペーンによって)4G LTEと同じ料金で利用できるようにしていますので、5G端末を選びやすくなっていると考えています。
高橋社長 私たちが提供しているNetflixのバンドルプラン(Netflixパック)は、非常に好評です。他のOTT(※1)プレーヤーからも、「定額制であれば、私たちも(バンドルに参加したい)!」とアプローチをいただきました。パートナーは今後も募っていきたいと考えています。
(※1)Over-The-Top:通信事業者やプロバイダーとは無関係のネットサービス提供者。通信企業を「頭越し(Over The Top)」にしてサービスを行うことから、このように呼ばれている
―― 楽天モバイルが4月8日からMNO(携帯キャリア)に本格参入します。データ使い放題で(300万人限定ながら)1年目は無料、2年目以降は月額2980円という立て付けですが、この料金プランに対する感想を聞かせてください。
高橋社長 楽天モバイルの料金については、しっかりと警戒していかないといけないと思ってはいます。ただし、当初段階ではデータを無制限に使えるエリア(楽天モバイルの自社エリア)も限定されていることもあり、あれで「UN-LIMIT」と言っていいのかな、と思う所はあります。
(KDDIの)社内に向けては、「エリアは徐々に広がっていくものだから、1年後を考えると、全国で月額2980円というのは警戒すべき料金である」という旨を話をしています。優位性のあるエリア展開、先行している5Gへの取り組みや、OTTとのパートナーシップで差別化を図り、楽天モバイルのエリアが狭いからと気を緩めることなく対応していきたいと考えています。
―― 将来的に料金プラン全般を見直す考えはありますか。
高橋社長 5Gについては、今回出した料金でお客さまの動向を見つつ、他社の動向も踏まえながら対応していきたいと考えています。キャンペーンではありますが、4G LTEと同水準の料金で提供できますし、業界最安値水準も出せたので、これで行こうと思います。
―― 4G LTEサービスの月額料金は見直さないのでしょうか。
高橋社長 シンプル化する目的もあり、今回は4G LTEのプランの見直しも同時に行っています。

―― 5GスマートフォンのラインアップにXiaomi(シャオミ)を採用したことが驚きです。同社は日本での体制がまだ安定していないイメージもあるのですが、なぜXiaomiスマホを扱うことにしたのでしょうか。
高橋社長 今回は中国メーカー3社の5Gスマホを採用しています。
ご存じの通り、中国では5Gの展開がすごく速いです。加入者数も急速に伸びていると聞いています。ボリューム(生産数量)の面から(中国メーカー製の)5G端末の単価が下がると見て、今回はXiaomiも採用することにしました。
おっしゃる通り、Xiaomiは日本市場における経験値が足りないことは事実です。私たちとしても、Xiaomiと一緒にしっかり準備を進めています。お客さまに迷惑をかけず、競争力のある端末価格に持っていけると良いと考えています。
頑張ります。
―― 今回5Gサービス用に発表した7機種の狙いを改めて聞かせてください。オンライン発表会では「中国メーカーの機種は価格競争力がある」という旨をおっしゃっていましたが、どのくらいの“競争力”があるのか、教えてください。
松田氏 au 5G(の商用サービス)を始めるに当たって、「UNLIMITED au 5G その手に。」というフレーズを添えています。端末はリアルに“その手に”に届くものですから、充実感のある7機種を取りそろえました。
メジャー感のある(4G LTE時代からある)フラグシップモデルを取りそろえつつ、新しいものとしてOPPOのフラグシップモデルを用意し、ZTEやXiaomi(のスマホ)をラインアップに加えました。それぞれのモデルにそれぞれの特徴があり、そのレンジに合わせた価格競争力はあると考えています。
高橋社長 2019年に行われた電気通信事業法改正の絡みで、(端末に対する)インセンティブ(販売奨励金や購入補助)については制限があります。しかし、5Gをザッと広げていこうと考えた時に、端末価格の扱いは最大の課題です。
オープン市場(回線にひも付かない端末購入)にも対応した「かえトクプログラム」は、5G端末を意識したもので、若干高い端末であってもお客さまの手に届きやすくなったと思っています。ただ、これだけでは届かない層のお客さまもいらっしゃいます。
先ほども申し上げた通り、中国はものすごい勢いで5Gが普及しているので、中国メーカーの端末は納入価格を抑えられると考えています。まだ協議中ではありますが、(販売価格も)抑えられると期待しています。
5Gをいち早く展開する上で、端末価格は重要なので、施策は練り込んでいきます。
エリアやサービスの展開について
―― 5Gサービスの提供エリアについて、御社はソフトバンクと同様に(3月末時点でのエリアは)住所ベースでの公表となっています。その理由を教えてください(筆者注:4月末時点における予定エリアは、エリアマップでも確認可能)。
高橋社長 おっしゃる通り、5Gエリアの表現方法は各社でバラバラになってしまっています。各社とも特色のある出し方ではありますが、ユーザーに分かりやすいことが大前提です。他社と比較しつつ、私たち(のエリア表現方法)に工夫が必要なのであれば、随時対応していきたいと考えています。ここは差別化に力を入れるべき部分ではありません。
―― ソフトバンクは、LTEで利用している周波数帯の5Gへの転用に意欲を示しています。御社も同様の考えなのでしょうか。
高橋社長 既存周波数の5G化については、総務省で法令の整備を進めると聞いています。私たちも、それを踏まえた対応をしていきたいと思います。
発表会のプレゼンテーションで示した基地局数については、新しく割り当てを受けた周波数帯(3.7GHz帯/28GHz帯)に加えて、既存周波数帯を使った基地局を含めた数字だと思っていただいて大丈夫です。
―― そうなると、新しい周波数帯の基地局と既存周波数帯の基地局は、どのくらいの比率になる予定でしょうか。
高橋社長 詳しい内訳は開示しませんが、新しい周波数帯の方が多くなると考えてかまいません。
―― 4G LTE用の周波数帯を5Gに転用したエリアでの通信速度はどのくらいになりそうでしょうか。
高橋社長 転用する周波数帯によって異なります。キャリアアグリゲーション(CA)も併用することになるので、「このくらいの速度」と一概に答えることは難しいです。
ただ、今年(2020年)の秋口以降に対応した際に、改めて(最高速度を)公表することになるとは思います。
―― 4G LTEから転用した周波数帯でも、(5Gの)体験価値は損なわない、という理解で良いでしょうか。
高橋社長 初期段階の5Gは、LTEとのハイブリッド(NSA:ノンスタンドアロン)という構成です。なので、4G LTEのネットワークをピカピカに磨き上げて、そこにより高速な5Gネットワークを重ねて、その中で何ができるのかということを真剣に議論しています。
5Gエリアが広がるにつれて、その価値を体験できるお客さまは増えていきます。一方で、4G LTEネットワークの中でそれを楽しむお客さまもいますから、5Gの価値は生かしつつも、4G LTEでも十分に楽しめるようなコンテンツを拡充したつもりです。
既存の周波数帯を5Gに転用すると、4G LTEよりも高速にはなるでしょうが、単純に速度だけで物語るものではないとも思います。
―― 5G基地局の整備において、新型コロナウイルスの影響は出ているのでしょうか。
高橋社長 私たちも日々、サプライチェーンにどのような影響が出るのか注視している状況です。現時点において、基地局整備に影響は出ていません。
ただ、5月や6月になると、基地局だけではなく端末の調達など、事業への影響が出てくる可能性はあります。日々情報をアップデートしながら、対応をしていきます。
―― NTTドコモは、5Gサービスにおいて「2023年までに2000万契約」という目標を掲げています。御社でも5Gサービスの契約数の目標を設定しているのでしょうか。
高橋社長 5Gサービスの契約数(の目標)については公式に話したことはないのですが、言えることとしては、2020年度末までには何とか二百数十万件クラスには行きたいなと考えていきます。
―― 4G LTEサービスのスタート時と同じくらいの数字と見て良いですか。
高橋社長 それと比べると、ちょっと弱いと思います。
4G LTEのスタート時点では、スマホという(普及を促進する上での)“武器”がありました。それと比べると、5Gにおいてスマホの形が全く変わるというわけでもないので、若干弱含みになっている感じです。
3Gの普及時と同じように、上位レイヤーのサービスを磨いて工夫して、5Gの魅力を見せていく必要があると考えています。二百数十万の上の方を狙えるように、頑張っていきたいです。
―― 先日、JFEスチールの東日本製鉄所(千葉地区)に5Gを導入するという共同発表がありました(参考リンク)。4G LTEまでのサービスエリア展開は、まず東名阪(関東、中部、関西)の主要都市においてエリアを広げて、その後あまねく全国に広げるという方法を取っていたと思うのですが、5Gでは「都市」「地方」とは別軸で、新しいユースケースを開拓できそうな企業やパートナーのために優先してエリアを構築するということも増えていくのでしょうか。
高橋社長 5Gエリア展開の考え方は「toC(コンシューマー向け)」「toB(法人向け)」で分けています。コンシューマー向けでは、スタジアムのような5Gの特徴が生かせるスポットを中心に、生活動線に合わせたエリア展開をしていくことが基本です。
先ほど挙げていただいたJFEスチールの事例もそうですが、法人向けにはお客さまごとに対応していくことになると思います。例えば「5GでFA(ファクトリーオートメーション)化をしたい」という要望があった場合は、室内やその周辺部に5Gエリアを構築するということも考えられます。ユースケースに応じて、法人営業と連動して取り組んでいくことになります。
―― 5G基地局を1万、2万と積み上げていって、現在の4G LTE並みのエリアになるのはいつ頃になりそうでしょうか。
高橋社長 基地局の整備は開設計画に基づいてやっていくので、「何年度に」ということは示しづらいのですが、2022年度ぐらいには同等のレベルに持って行きたいと思っています。
5Gの真価を発揮するには、ネットワークをいち早くスタンドアロン(SA:LTEから独立した構成)に持って行く必要があります。これについては2021年度後半辺りになると見込んでいますが、お客さまの利用動向を見つつ、“なるべく早く”でやっていければと考えています。
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