既報の通り、楽天モバイルは4月8日、モバイルキャリア(MNO)としてのサービスを本格的に開始する。
本格サービスに合わせて用意された料金プラン「Rakuten UN-LIMIT(らくてんアンリミット)」は、自社で構築したエリアにおける高速データ通信は無制限に利用できる。その一方で、国内ローミングエリア(auネットワーク)と海外エリアでの高速データ通信は、月間2GBまでとなる。
「月額2980円(税別)でデータ容量無制限」は魅力だが、そのメリットはいかに自社エリアを増やすかにかかっている。
2021年3月までに自社エリアを「全国」に拡大
同社では、2020年3月末までに屋外LTE(4G)基地局を3432局設置する計画を総務省に提出している(参考記事)。2020年2月末時点で開設済みの屋外基地局は3490局で、既に目標値を上回っている。3月中にはこれを約4400局まで拡大する予定だという。
しかし、現時点において屋外基地局を整備しているのは東京都、神奈川県、千葉県、愛知県、大阪府、京都府と兵庫県などの一部に限られており、屋外基地局の未整備エリアや屋内エリアについては、KDDIと沖縄セルラー電話が整備したau 4G LTEネットワークに頼っている。
先述の通り、MNOサービスが本格的にスタートすると、auネットワークでの高速データ通信に容量制限が設けられる。ユーザーが接続しているネットワークは「my 楽天モバイルアプリ」で確認できるようになる予定だが、わざわざ「どちらのネットワークに接続しているのかな……?」と確認しながら使うのは、考えようによってはストレスフルといえる。
そこで楽天モバイルでは、基地局の設置をさらに前倒し、2021年3月までに自社ネットワークの提供エリアを全国に広げるという。
ただし、具体的に「どこで」「どのくらいの範囲」が自社ネットワークのエリアとなるのかは、具体的に示されていない。しかし、MNOサービスの開始をもってMVNOサービスの新規受け付けを終了することから、“真剣”にエリア拡大を行う方針であることは間違いなさそうだ。
宇宙からのエリアカバーを視野に「AST」に出資
楽天モバイルのエリアカバーは、“宇宙”から行うことも視野に入れている。
同社の親会社である楽天は3月3日、米AST & Science(以下「AST」)と「戦略的パートナーシップ」を締結し、イギリスVodafoneと並ぶ筆頭株主となったことを発表した。
ASTは「SpaceMobile」と呼ばれる低軌道人工衛星の開発に取り組んでいる。この人工衛星は宇宙空間からLTEや5Gエリアを構築できることが大きな特徴で、地上に設置されたLTE/5Gネットワークとシームレスにローミングできるという。
宇宙からのエリアカバーが実現できれば、楽天モバイルは山間部を含めて全国で使えるようになる。地上の基地局が災害などで利用できなくなった場合も、宇宙からフォローすることもできる。
SpaceMobileの試験機「BlueWalker 1」は現在、軌道上を周回しつつ実証実験を続けている。早期に実用化を果たし、日本での利用が認められれば、既存キャリアと比べエリア面で不利な楽天モバイルにとって、大きな“助け”となるだろう。
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