<北朝鮮は「史上初めてアメリカの大統領と直通電話でつながり」、ロシア、中国とも首脳会談を行っている。のけ者にされているのは日本のほうだ>
北朝鮮外務省の宋日昊・日朝国交正常化担当大使は11月7日、北朝鮮が10月31日に実施した飛翔体発射実験を日本が非難したことについての談話を発表。安倍晋三総理大臣を侮辱し、日本が原爆投下を受けた痛ましい過去を連想させる言葉を並べた。
国営朝鮮中央通信を通じて発表した談話の中で宋は、4日にタイで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、安倍が北朝鮮の「超大型多連装ロケット砲」を非難し、北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射は国連安保理の決議違反だとしたことに反発。ミサイル発射は自衛のための正当な措置だと主張した。
談話の中で宋は、「我が国の超大型多連装ロケット砲の発射実験について、まるで核爆弾が日本の領土に落ちたかのように騒ぎ立てている安倍総理は、愚かで性悪だ」と主張。安倍は「卑劣な政治家」であり「多連装ロケット砲とミサイルの区別もつかないのに日本の軍事大国化を夢見ている、まれに見る無知」だと批判した。
宋はさらに、「奇形」「卑劣」「不道徳」「チビで不格好」だと安倍をこき下ろし、日本を「政治的に(取るに足らない)小さな国」、「沈みつつある島国」で「希望のない荒廃した国」と見なし、北朝鮮の新時代の外交からは日本は排除されていると主張した。
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非核化めぐる交渉で日本は蚊帳の外
日本は1910年から1945年まで35年にわたって朝鮮半島を統治していた過去がある。その後、冷戦時代にアメリカとソ連が奪い合うかたちで、朝鮮半島は北朝鮮と韓国に分断された。以降、日本はアメリカと韓国と共に同盟関係を維持してきたが、ここへきて日韓関係は急速に悪化。北朝鮮も、対日批判をますますエスカレートさせている。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、アメリカのドナルド・トランプ大統領、韓国の文在寅大統領、中国の習近平国家主席やロシアのウラジーミル・プーチン大統領と、1年半前から朝鮮半島の非核化をめぐる交渉を続けているが、安倍はこの交渉の舞台に上がれず「のけ者」にされている。2019年に入って、安倍は金と「一切の条件をつけずに」会って拉致問題の解決に取り組む決意を宣言。だがこれまでのところ、ほとんど進展はみられない。
「北朝鮮に行動を促すにはどうするかを考えて、再び日朝間の交渉の扉を開かなければならない」と、日本の外務省のある当局者は最近、本誌に語った。「史上初めて、アメリカの大統領と直通電話でつながっている北朝鮮の指導者にとって、日本との交渉を急ぐ理由はなくなった」
2019-11-08 05:30:10Z
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13348.php
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