【ワシントン=黒瀬悦成】米下院本会議は29日、オスマン・トルコ帝国による1915~23年のアルメニア人の大量殺害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定する決議案を賛成405、反対11で可決した。オスマン帝国の流れをくむトルコ政府は虐殺をしたと認めておらず、米・トルコ関係の新たな火種となるのは確実だ。
米メディアによると、下院がアルメニア人殺害を「虐殺」と断じる決議を可決するのは35年ぶり。
また、下院本会議は同日、トルコによるシリア北部での軍事作戦に関与したトルコ政府高官や軍幹部らに制裁を科す法案を賛成多数で可決した。
米議会では、シリア北部での軍事作戦で約200人のクルド人勢力を殺害したとされるトルコのエルドアン政権と、シリア北部からの米軍撤収を強行したことでトルコによる軍事作戦に道を開いたトランプ大統領への批判が民主、共和両党の間で広がっている。
また、クルド人勢力がシリアの対トルコ国境から撤収する期限を迎えたのを受け、トルコが再びクルド人勢力に対する越境軍事作戦を行うとの懸念も浮上しており、制裁法案の可決はトルコに更なる軍事行動を自制するようクギを刺す狙いも込められている。
法案成立には上院での可決を経てトランプ氏の署名が必要。ただ、同氏はトルコが軍事作戦を停止したのを受けて制裁を解除したばかりで、新たな制裁に同意するかは定かでない。
2019-10-30 06:52:00Z
https://www.sankei.com/world/news/191030/wor1910300025-n1.html
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