【ワシントン=黒瀬悦成】米ホワイトハウスは29日、来月初旬にタイのバンコクで開かれる東アジアサミット(EAS)など一連の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の関連会合にオブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を米国代表として派遣すると発表した。
米国が2011年にサミットに正式参加して以降、正副大統領と国務長官以外の高官を送るのは初めて。
トランプ政権が中国をにらんで東南アジア諸国などとの連携強化を図るインド太平洋戦略を提唱しているにもかかわらず、9月に就任したばかりのオブライエン氏を派遣することに、「アジア軽視」との批判が広がるのは不可避だ。
東アジアサミットは日米中露やASEAN加盟国など18カ国で構成。中国からは李克強首相が出席するほか、日本を含め各国とも首脳級が出る方向で最終調整を進めている。ロシアのプーチン大統領も昨年に続き出席する可能性がある。
一方、トランプ大統領は17年のサミット(フィリピン)を土壇場で欠席したほか、昨年(シンガポール)はペンス副大統領を代理で送り込むなど、EASの枠組みを重要視しないかのような姿勢が目立つ。
これに対し11~16年は、13年にケリー国務長官が出席した以外は当時のオバマ大統領が全て出席。オバマ氏の「アジア回帰」戦略については「かけ声倒れ」との批判が強いものの、少なくとも首脳外交の場でプレゼンスを維持する態度は一貫していたといえる。
アジア情勢に詳しい米政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)のエイミー・シーライト研究員は「米首脳が欠席すれば、米国がインド太平洋戦略にどこまで本気なのか疑念を抱かせることになる。米国が戦略的パートナーとして信頼に足るのか、という疑問を呼び起こす恐れも高い」と懸念を表明した。
2019-10-30 05:29:00Z
https://www.sankei.com/world/news/191030/wor1910300022-n1.html
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